海上船内物語
二人が睨み合っているそのすぐ下で、人影が揺れる。
カイルが部屋から出ようと試みた。
「おい、行かせないぞ」
「わっ!!」
アキは視線を変えもせずに、カイルの首根っこを掴んだ。
「全く、油断も隙もない」
「・・・・・・・・」
カイルをベッドに座らせると、アキは二人を見比べた。
「・・・・・・お前、何で俺を殺さねぇんだよ。
海賊が死ぬほど嫌いなんじゃねぇのか?」
シーザが呟くように、そう溢した。
「貴様をか?冗談じゃない、俺は必要以上に体力を使いたくないんだ」
「はぁ?アキが?!あの喧嘩早いアキが?!どうしたの?!」
「おい、貴様馬鹿にしているのか」
がし、とカイルの頭を鷲掴みするアキ。
「まぁ、そう言うことだ。俺は、お前を殺すつもりなんてない」
そう言うと、逆にシーザは警戒を強めた。
「俺は、お前を仲間にするつもりでここに来たたんだ」
アキはシーザを指差し、単調に言い放った。