海上船内物語



「まぁ、手に入れるのは、シーザかカイル、別にどちらか一人でも全く問題が無いのだ。だから、カイルが死のうと生きようと、貴様が居れば関係ない。」


カイルの喉奥から嗚咽が漏れた。
アキの腕を掴んでいた手も、力なく垂れる。



「貴様の判断は、カイルを殺しても良い、と言うことだな?」

「アキっ、・・・・・・・・・・!!」


アキのもう片方の手が、カイルの首元に添えられた。



「こいつを殺るのは気が引けるが、まぁ仕方が無い。あとは貴様を捻じ伏せて、手に入れるだけだ」


ひ、とカイルの喉奥から悲鳴が聞こえた。

ぞわり、とシーザの体に鳥肌が立つ。



「・・・・、船員、に・・・なればいいんだろ・・・!!」

「あぁ。そうだが。」

「分かったよ、その代わりカイルを離せ!!」

「言ったな。これで交渉成立だ」


どさ、とカイルが床に倒れこむ。
金髪が床に広がった。

シーザがカイルに駆け寄り、それをアキは冷ややかな視線で見下ろす。


咳き込むカイルが、アキを静かに睨み上げた。



「げほっ・・・・・・、・・はっ、・・・・・・、


アキ、は・・・・何で、そこまでして・・・・・、
悪者ぶる、の・・・・・」


アキの目が見開いた。




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