海上船内物語
□夜
□ □ □
ふわりと感じた部屋の明るさに、カイルは目を開けた。
視界に入ったのは、蝋燭。
「あ、・・・・・・・?」
体を起こすと走る、首の痛み。
「・・・・・・本当によく寝るな、貴様は」
カイルの視界がだんだんはっきり見えてくる。
やっと捉えられたのは、暗い部屋と同色の、蝋燭を持ったアキだった。
「・・・・アキ・・・・・・、」
「シーザは別の部屋に入れた。色々してもらう事もあるからな」
アキは、近くの机に蝋燭を置く。
部屋が僅かに明るくなった。
「ウルから聞いたぞ、三年間、剣を持っていないらしいな」
アキがベッドの端に座り、真っ直ぐな視線をカイルに向けた。
カイルは気まずそうに頷いた。