海上船内物語
「間違っても俺を殺すなよ」
「本当、分からないよ?アキ斬っちゃうかも」
「それは極力、避けろ。」
ベッドに鞘を捨て、カイルは嫌々サーベルを構える。
(・・・・・・この冷たい感触が、嫌いだ)
ぞくり、とカイルの背筋に寒気が走った。
「一本、でいいよね」
「あぁ。早くしろ」
ぎゅ、とカイルは目を瞑る。
浅く息を吐いて、目を開いた。
「っ、」
息を吸い込みながら、体を逸らせる。
目の前で構えているアキのサーベルに届くよう、腕を伸ばして一気に振り上げた。
振り下ろしたサーベルが一瞬消えた。
数秒後に、耳を塞ぎたくなる金属音が響いた。
カイルとアキのサーベルが、交わる。
途端にカイルは顔を歪め、サーベルから手を離した。
からん、と乾いた音が広がる。
「・・・・痛い・・・・・・。」
カイルは衝撃に手を痺れさせ、情けない顔で手をぶらぶらと振っていた。