海上船内物語
「ギャハハハハハハ!!せっ船長、こいつぁ人間の拾い物じゃなく犬っころの拾いもんじゃねーんですかい?」
「ひっ、ひー!!いきなり転がってきてっ!!」
「ブワハハハハハハハァ!!」
「やいてめーら何でそんなに笑うんだ!!転がってきたのは仕方ねぇだろ?!あそこにパイプがあるのが悪ぃんだ!!」
「ギャハハハハハ!!」
悶え苦しむ船員達を見て、アキは溜め息をつく事しか出来なかった。
拗ねはじめるカイルを見て、船員から割って出てきたウルは握手を求めた。
「ヒーヒー・・・・ごめんごめん、お前さんが異例だったんだよ、面白いって話だ。俺はこの船の船員、ウルだ。よろしく」
まだぷくくと笑いを堪える船員達を見て、カイルの機嫌が直った訳では無さそうだが、一先ずウルの握手で機嫌は良くなったらしい。
手を握り返した。
「・・・・・・・・俺、カイル!見ての通り頭は良くないがやるときはやるからな!!」
「あぁ、よろしく。」
「俺は操舵士のエルだ」
「俺はハリー。よろしくな!」
カイルの周りに次々と握手が求められる。
どうやら、甲板まで転がって登場してき、犬のような懐っこさを印象付けたのが効いた様だ。
カイルは屈託の無い笑みを撒き散らしながら、アキを見上げた。
「アキ!俺もう仲良くなったぜ!」
「黙ってろガキ」
アキは心底迷惑そうな顔をし、近寄ってきたカイルを突っ撥ねた。