海上船内物語



「ギャハハハハハハ!!せっ船長、こいつぁ人間の拾い物じゃなく犬っころの拾いもんじゃねーんですかい?」

「ひっ、ひー!!いきなり転がってきてっ!!」

「ブワハハハハハハハァ!!」

「やいてめーら何でそんなに笑うんだ!!転がってきたのは仕方ねぇだろ?!あそこにパイプがあるのが悪ぃんだ!!」

「ギャハハハハハ!!」


悶え苦しむ船員達を見て、アキは溜め息をつく事しか出来なかった。


拗ねはじめるカイルを見て、船員から割って出てきたウルは握手を求めた。


「ヒーヒー・・・・ごめんごめん、お前さんが異例だったんだよ、面白いって話だ。俺はこの船の船員、ウルだ。よろしく」


まだぷくくと笑いを堪える船員達を見て、カイルの機嫌が直った訳では無さそうだが、一先ずウルの握手で機嫌は良くなったらしい。
手を握り返した。



「・・・・・・・・俺、カイル!見ての通り頭は良くないがやるときはやるからな!!」

「あぁ、よろしく。」

「俺は操舵士のエルだ」

「俺はハリー。よろしくな!」


カイルの周りに次々と握手が求められる。



どうやら、甲板まで転がって登場してき、犬のような懐っこさを印象付けたのが効いた様だ。


カイルは屈託の無い笑みを撒き散らしながら、アキを見上げた。



「アキ!俺もう仲良くなったぜ!」

「黙ってろガキ」


アキは心底迷惑そうな顔をし、近寄ってきたカイルを突っ撥ねた。



< 20 / 298 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop