海上船内物語










□ □ □



「どういうことだ、ウル」

「何がですかぁ?」


アキは甲板に出ると、見張りをしていたウルに詰め寄った。


「お前が“カイルは剣を振れないかもしれない”なんて言うから、俺は顔を出したのだ。
全然大丈夫そうじゃないか!」

「どうしたんですか、船長。珍しく慌てて。顔、赤いですよ」

「うるさい!どうなんだ、と聞いている!」

「女版カイルは手強いですねー。あらゆる所から船長を擽りますか」

「そうは聞いていない!」

「ハッハッハ」


ウルはさして気にした様子も無く、双眼鏡で広い水平線を眺めていた。

船が直進している音と、流れる水の音以外、何も聞こえない。



「カイルは剣を持ちました?」


ウルが、真面目な顔つきでアキを見上げる。



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