海上船内物語
「・・・・持ったは持った。だが、渋々、だな。」
「渋々ですか。まぁ、あの性格だし、すぐに前向きにはなると思うんですけどねぇ」
アキはじっと海を見つめた。
半月が黒い海に映り、揺れている。
「・・・強烈、だ。あいつの一撃は」
「手、痛めました?」
「予想はしていたから、ある程度は避けた。あいつは非力な分、無茶苦茶な構えで打ち込んでくるんだ。剣の効果を知り尽くした、少量の筋力で突く、独特な“形”を持ってる」
アキが溜め息を付きながら、サーベルを抜き出した。
「・・・細身の剣で受けるんじゃなかった。後悔している。」
「・・・・・・見事に欠けてますね」
「そうなんだ。」
サーベルの欠けた部分を撫でながら、アキは鞘に収めた。
「だが、これからが楽しみだ」
「そうですね」
ウルが双眼鏡を外し、アキに笑顔を見せた。
アキもそれに応える。
「海賊への報復を始めるか」
死神船の “翻弄”が始まる。