海上船内物語










□ □ □



カイルは、眉を寄せた。
隣に居たウルは、そんなカイルに首を傾げる。



「ねぇウル、ちょっとベランダ出ていい?」

「ん、いいけど」


カイルは一目散に窓を開けた。
息を大きく吸う。



「・・・・あぁ、やっぱり・・・・・、」


漆黒の空にぽつりと浮かんでいる、満月。


「何かあった?」


後ろで顔を覗かせるウルに、カイルは困惑の表情をしてみせた。



「すごく、嫌な風が吹いてる。雲が、気持ち悪いくらいに早く動いてるんだ・・・」


「それで?」


「海が荒れる。早く海から出ないと」



強風が、カイルの金髪を浮かばせた。



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