海上船内物語
□ □ □
カイルは外の寒さに、思わず身震いした。
視線を上に向ける。
アキは、口元に妖しい笑みを浮かべながら、カイルを見下ろした。
「ほら、剣だ」
「・・・・いらない」
「持てと言っている。聞こえなかったか」
眉間に皺を寄せながら、カイルは差し出されたサーベルを手に取った。
長い金髪が酷い雨で濡れ細り、水が滴っている。
死神船の甲板には、船員全てが集まっていた。
皆、緊張した顔つきで、左腰に差してある剣を構えている。
「貴様はとにかく海賊の手には入れさせん。海賊なぞに捕まったら俺が殺りに行くからな」
カイルは心底いやそうな顔をする。