海上船内物語
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「うわっはーい!!!」
「何だそれ」
「そんな気分なんだ!」
顔を輝かせるカイルに隣に居たウルは思わず笑った。
「ウルはこんだけの料理すぐ作れんだな!」
「すぐは無理だ。ってか今さっきお前も手伝っていただろ」
「そうだけども!」
カイルは、大きいテーブルに並べられている大皿達を見渡した。
どれも雑把に作られているが、味に支障は無いようだ。
「カイル、帆張ってる奴ら呼びに行ってくれないか。甲板で叫べば大体の奴が出てくると思うから」
「うっしゃ任せろ!!」
ウルがそう言うと、カイルは食糧室を飛び出て甲板に出た。
「みんなー!!飯ー!!!!!」
満面の笑みで船全体に響き渡るカイルの声に、殆どの船員は手を止める。
「カイル飯班に居たんだなー、道理で居ない筈だ」
「帆張りはまだ慣れてないからな!」
「すぐに慣れるさ」
ひょいひょい、と網から器用に下りて来る船員達は皆笑顔でカイル頭に手を置いた。