海上船内物語
■終焉
□終
笑った。
確かにそいつは、余裕な顔をして笑った。
「お前みたいな若造に、わしを殺れるとでも?」
楽しそうに、まだまだ若い目で、剣を振りながら見下す視線。
誰も近付かない一隻の甲板に、赤黒い血が垂れた。
「まだまだ経験が足りんってこっちゃ」
くくと笑う喉仏が、やけにゆっくり揺れる。
頭に巻いてある、真っ赤な布が雨に濡れ、頼りなくへばりついている。
「・・・・・・・・・・いや、まだだ」
視線を据える。
光のように、近付く影。
金髪が濡れほそって、迫力のない茶髪になってしまった、細い影。
「っ・・・・・・・・・・」
きん。
耳を塞ぎたくなるような金属音が、鼓膜を突く。