海上船内物語
「死神船が勝ったなら、晴れるよ」
「何だそれ。そんなので天気は変わるのか?」
「変わるわけ無いけど。気分だよ、気分」
痛いくらいに強風がすりぬけ、風を受けた帆はぐんぐんと沖へと向かう。
風と、雨と、雷と、海の轟く音が、鼓膜の中をじっとりと這う。
その中で、カイルはゆっくり笑った。
「今日晴れたら、私は言わないと・・・・・・」
恐ろしいほどの赤で、あらゆる箇所が濡れた彼女は、小さく呟いた。