海上船内物語

□始











□ □ □



強烈な日差しに、彼女は目眩に襲われた。


真水で血液を流し、先程の大惨事を忘れるように、体を擦る。


午後。

空は嵐が過ぎ去った、すっきりとした空だった。


彼女、カイルは体の水分を適当に拭うと、そのままシャツに手を通す。

長い髪から、水滴が垂れた。


「晴れちゃったよ」


ボタンをとめながら、カイルは空を見上げて苦笑する。


空に小さく浮かぶ、太陽がカイルを見下ろす。

カイルは手をかざして、広い青空を吸い込んだ。


「いい天気」


シャツ一枚で、カイルは甲板に出た。


こびり付いていた血は綺麗に洗い落とされ、船はいつも通りの船に戻っていた。


深呼吸して、カイルは船内の扉を開ける。



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