海上船内物語
「ウルは料理が上手いんだな!!」
カイルが金髪の船員に話しかけると、そいつは笑う。
「誰だってちゃんと出来るぜ、料理は。カイル、お前もちゃんと自分の飯くらい作れるようになれよー」
「料理はどうも慣れない。」
ガタガタと椅子に座り始める船員。
ふと、カイルはある事に気付いた。
「アキは?」
「あぁ、船長?いつもこの時間は寝てんだよ。大丈夫、その内起きてくるさ」
ウルは何も無いかのように、皿に具を盛り付ける。
「・・・・・・・・俺こう言う船全てが、船長中心かと思ってた・・・・・・・」
「実際は案外堅くないモンだぜ」
ばし、とカイルの背中を豪快に叩くウル。
カイルに座るよう、促す。
他の船員はもうすでに食事が始まっているようだ。
非常に騒がしい。
カイルはウルの作った特製スープを飲み込んだ。
「・・・・・・・・・うまい」
「そうか。ちゃんと食ってもっと大きくなるんだぞ」
「これからが成長期だ!」
「そうかそうか。」
茶化すウルを無視して、カイルは外を眺めた。
すぐ向こう側には、太陽に反射している海が見渡せる。
それに負けない位、青い空には鳥が飛んでいる。
漂う潮風が心地良い。
弾む胸を押さえ、カイルは満面の笑みでスープを完食した。