海上船内物語










□ □ □



あれから三日が経った。

相変わらずアキは寝込んだまま、その事実を知っているのはカイルだけの状態のまま、日はどんどん過ぎていく。


その日カイルはある人物を探していた。


ぎしぎしと抜けそうな床を歩きながら、カイルは辺りを見渡す。


死神船の船内は大きく二つに分けられ、二階側と一階側とされている。

一階側は、調理するための部屋や、船員達の寝床がある部屋で、カイルも普段からよく使っていた。

しかし二階側、つまり船内の下のほうの階は食糧倉庫とされ、普段あまり足を踏み入れない場所だった。


カイルは一緒に死神船に乗り込んでいたはずの、一時仲間であった、シーザの姿をあれから見ていなかった。

ウルの口から少しだけ漏れた、シーザの存在。

カイルはずっと前から、その存在が気になって仕方なかった。


そして現在。

カイルは食糧倉庫、つまり船内二階の中に居る。


船内二階は当たり前のように人気がなく、上からの物音が激しいだけの、ただの倉庫のように見えた。

薄暗く、昼間なのに灯がないと何も見えないくらいだった。



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