海上船内物語


「・・・・・・・シーザ?」


カイルは恐る恐る、小さな扉がたくさんある二階の空間に、声をかけてみた。


「シーザ、いる?」


ぎしと軋む床にびくびくしながら、カイルは歩を進める。


(ここって海の中?いや違う、海の上なのかな?あ、でも沖に上がった時、案外大きい船だったからなぁ・・・水中ってことは、もしかしたら海水がしみることもあるのかも・・・)


カイルは僅かなその時間で、頭をフル回転させた。

今にも壊れそうな造りの床を、今沈没するんじゃないかと心配しながら、カイルは歩く。


少し歩いて、一番正面に突き当たる扉にあたった。


固唾を飲むカイル。


(開けてみようかな・・・・・)


ゆっくりとドアノブに手をかける。

そして時間を掛けて、それを回した。


がちゃりと木が軋む音がして、ゆっくり扉は開いた。


「・・・・・・・・シーザ?」


カイルは部屋の中に入り、そこを見渡す。

そこまで広さはなく、部屋で言ったら一人部屋くらいの広さだろうか。

しかし、その部屋には“食糧倉庫”らしき食糧はひとつも置いていない。


(変な部屋・・・・・・ただの物置だったかな)


カイルは部屋を出ようとする。

そこで、足を止めた。



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