海上船内物語
「・・・・・アル。アルは生きてたか?」
「お兄ちゃん?あぁ、そう言えば乱闘のとき、居たよ。完全健康ってわけじゃなさそうだったけど」
それを聞き、シーザは脱力する。
「アルが無事なら、いい。あいつは俺の昔からの戦友だからなぁ」
「戦友って・・・・・・」
カイルは苦笑する。
そして、シーザはカイルを抱きすくめた。
「・・・・、シーザ、傷開くよ」
「そんな軟くねぇよ、俺ぁ」
カイルはシーザの背中に手を回す。
「何か、痩せたね」
「食ってねぇからな」
「食べ物もらってないの?」
「食いたくねぇんだ、男からもらった飯は」
カイルに頬擦りをする。
少し笑って、カイルはシーザの頭を撫でた。
「・・・・・シーザ、ごめんね」
「はん?何が?」
「これから、きっと分かる。だから、ごめん」
カイルは立ち上がった。
そして、何も無かった顔をして、部屋から出る。
「ちゃんと寝ててね。上から食べ物もらってくる」
金髪が、ふわりと消えた。
シーザはそれを眺めながら、床に寝転がった。