海上船内物語


「情けねぇなあ!船長の太刀掴んだ位だから根性座ってんのかと思ったら、案外弱っちいいもんだな」

「普通に考えて痛くないか?!だって肉裂けてんだぞ?!痛いに決まってんだろ!」

「うるさい。黙ってその傷治せ」


右手の平が斜めにざっくりと裂けている。そこから覗く赤が痛々しい。
消毒のおかげか、変色してしまった膿は流れたようだ。


カイルは痛みをぐっと堪え、立ち上がった。


「ん?どこ行くんだ?」

「船探検!!まだ分からないことばっかだから!」

「お前さっきまでは痛い痛い言ってたのに、元気なもんだよなー」

「おう!!」


ウルは痩せ我慢を貫くカイルを見て、「好きにしろ」と微笑した。






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