海上船内物語
□襲
□ □ □
その日は、丁度夕暮れ時だった。
「海賊船発見!こちらに迫っているようです!」
和やかな空気が漂う死神船は、一人の見張り役の声で動きが変わった。
「よし!皆準備しろ!乱闘になるぞ!」
ウルは船員に指示を飛ばす。
それに合わせて、船員達は首尾よく準備をした。
船には船長の姿が無かった。
「ウ、ウ、ウル?海賊船が迫ってる?どういうことだ?」
ついでに言えば、ウルの足元で戸惑うカイルだけは和やかだった。
「おう、初めてだもんな。来襲だよ、海賊達の」
ウルは逞しい目でカイルを見下ろした。
「らいしゅう?」
「あぁ。この死神船はな、俗に言う“海賊狩り”だ。政府認定のな。
それで、たまに脳味噌が詰まってない海賊共が、自ら死神船を狙おうとしてるんだよ」
「なんでだ?」
「そりゃあ、俺らのせいで随分のお仲間がお亡くなりだからじゃねーの?」
けろっと笑って答えるウル。
その手には剣が握られていた。