海上船内物語
ベッドで死んだように眠るカイルを、アキは揺すった。
「・・・・・・カイル、おい、カイル」
カイルは眉を寄せ、まぶしそうに薄く目を開けた。
すぐにがっと目は開き、カイルはシーツに包まった。
「・・・・・・なに、・・・・・・アキ・・・・・・」
寝惚けた声でそうつなぐ言葉は、何だか間抜けに聞こえた。
アキは床に膝をついたまま、カイルと目線を合わせた。
「あー・・・・・・・・・、いや、その」
「なに」
半開きの蒼い目が、アキをじっと見つめる。
居たたまれなくなったアキは、目線を逸らした。
「・・・・・お前、船員に伝えたいか」
「え?」
「だから、ガルフを殺したことを、船員に伝えたいか?」
きゅっとカイルの顔は引き締まった。
そして、困ったように視線を泳がせると、アキに戻す。
「・・・・・・・伝えたいよ」
「あぁ、そうか」
「だけど!」
立ち上がろうとしたアキの腕を掴む。
「・・・・私が、私が直接言う」
じっと見上げた二つの目が、アキを捕まえて離さない。