海上船内物語
「お前が?」
「だって、アキが言うのなんてずるいじゃん。逃げるみたいで。私逃げるなんて嫌だよ」
「しかし、お前を良いと思わない奴も一人は出てくるはずだ」
カイルは俯いた。
そして、口を結んで、またアキを見上げる。
「私のことが許せないって人が居たら、すぐにここを出てく」
「はっ?」
「だって、私のせいで死神船がバラバラになるの、嫌だ」
じっとアキを見つめたまま、頑固な目はアキを呆れさせる。
「・・・・・俺は知らんぞ」
「うん。・・・・・ねぇアキ」
「あ?」
カイルはアキを見上げる。
「昨日みたいなキスは、してくれないの?」
アキは吹きだした。
そして、驚愕した目でカイルを見下ろす。
「・・・・・・何、を・・・・・」
「昨日あんなに優しく、ちゅうしてくれたのに」
見るみる内にアキの表情が険しくなっていく。
その度に、カイルの顔は怪しく笑っていく。
「・・・・いいか、あれは・・・・」
「シーザはしてくれたのに?」
ひたりとアキの動きは固まった。