海上船内物語
「ウル、お前は許すか?」
「何をですか?」
「カイルを、だ」
うーん、とウルは考え込んだ。
ちらりとアキの姿を見遣り、再び考え込む。
「そりゃあ、許せないですよ。ガルフを殺したんですからね」
「・・・・・・だろうなぁ」
ウルに背中を向けるように寝返り、アキは体を丸めた。
「俺だって実感が無いからな」
「・・・・・・・・・」
ウルは椅子に座った。
寝そべっている船長の背中をつつく。
「・・・・・くすぐったい」
「あ、すいません」
ちらりとウルは小窓を見遣った。
もう太陽は完全に昇り、空は真っ青だった。
海がキラキラ反射している。
「船長とシーザが、カイルのことを許すなら、俺にはカイルを咎める理由はありません」
「は?」
「だって、一番ガルフの近くにいたのは船長達ですよ?
その船長達がカイルを許せるなら、俺が許せないわけないんですよ」
むくりとアキは起き上がった。
ぼーっとウルを見て、そして口を開く。
「・・・・・シーザのことを忘れていた」
「えええええ」