海上船内物語


「ガルフを殺した、ねぇ」


シーザは続ける。


「まだわかんねぇよ、そんな。カイルを許すだとか、許さないだとか。
そりゃあガルフを殺したのは心底恨んでるけどよ、まだわかんねぇんだ」


アキは立ち上がった。

コートについた埃を払いながら、シーザをゆっくり見下ろす。


「あぁ、珍しく同感だ」


そしてそのまま背を向けると、部屋を出て行った。


「・・・・・あいつガキのころはあんなに可愛かったのに・・・・・」


シーザの言った一言は、聞こえていなかった。





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