海上船内物語
■夢
□ □ □
ぎしぎし。
作りの脆いベッドは、彼女が寝返りを打つたびに、嫌な音を立てて軋んだ。
アキは体を起こしながら、眠気眼でぼんやりそれを眺めている。
「・・・・・・・、は・・・・・・・」
顔をしかめては、苦しげに歪ませ、少し収まったかと思うと、また苦悶の表情になる。
彼女の額は汗で滲んでいた。
何かに怯えているような。
アキは思わず手を伸ばして、その頭を撫でる。
「・・・・・、は・・・・・・・・っ、」
蒼い目は開かれた。
流石にそれには驚いたようで、アキは声を漏らしてしまった。
彼女、カイルは勢いよく体を起こした。
そして、アキの姿を目に入れると、すぐに後ずさって、壁にひたりと張り付いた。
「・・・・・、さい・・・・・・めんなさい・・・」
「あ?」
小さく紡がれる言葉が小さすぎて、アキは顔をしかめた。