海上船内物語



「要するにウルは邪魔者を俺に押し付けたと言うことだな。」

「邪魔者って!」

「まぁいい。さっさと出て無様な海賊達の一部始終を見てるといい。」


薄い毛布を顔に掛けたアキは冷淡に言った。
カイルは何かを言い掛けたものの、素直にバルコニーの扉を開けた。


「わざわざこちらに奇襲をかけないでも俺らが潰しに行って遣るのに。マメな奴らだ」



表に出たカイルは息を呑んだ。

死神船の2階、船長室のバルコニーは丁度甲板の真上に属していた。


「・・・・・・・・・・・っ、!」


軽く水捌けの良い木材で出来ていた甲板は、赤と言う赤で埋め尽くされていた。



「あぁ、カイルー!もう終わったぜー」


下の方で声がするのに気付き、視線を遣るカイル。

笑顔で手を振っているウルの姿。



「これ、全部ウルが遣ったのか?」


甲板に不規則に倒れている海賊。
どれも、ぴくりとも動かなかった。

血の海。
そこにウルは立っていた。


「俺だけじゃねぇよ。他の船員も遣ったよ」


俺行水しに行くわ、とそのままウルは視界から消えた。


生温い、血の匂いと混じった潮風がカイルの鼻腔を擽る。



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