海上船内物語


「あの・・・・・・喧嘩なら他所で・・・」

「本っ当にアキの考えてること、わかんない!!孤独死させるつもりなの?!」


カイルがアキの腕から飛び降りる。

そんな状況でさえ、アキは顔を青くした。


「・・・・・・・・・だからと言って、カイルを乗せて航海もできないし、俺が船から下りることもできない。一週間に一回は帰ってくる」

「一週間に七回帰ってきてくれるならいいよ」

「・・・・・・沖合漁師じゃないんだぞ、俺らは」


カイルはアキを睨み付ける。

そして、遠くの方で柱に寄りかかっていたシーザの姿を発見すると、すぐさま駆け寄って抱きついた。


「シーザあああ!」

「おいアキ、何なら俺がカイルと一緒に住んでやってもいいんだぜ」

「馬鹿があああ!そんなこと俺が許すわけがないだろう」


よしよしと頭を撫でるシーザ。

ひょいと子供を抱えるようにカイルを持ち上げると、シーザは何も言わないで外に出て行ってしまった。


「・・・・・ったく頑固な女だ」

「あの、喧嘩ならよそでやって・・・」


リゲの言葉を無視し、アキはシーザたちを追いかけた。


「おい!シーザ!」


外に出た途端、突きつける日光にアキは顔をしかめる。


二人は、なにやら船乗り場で、一人の男と喋っていた。



< 293 / 298 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop