海上船内物語
「あの・・・・・・喧嘩なら他所で・・・」
「本っ当にアキの考えてること、わかんない!!孤独死させるつもりなの?!」
カイルがアキの腕から飛び降りる。
そんな状況でさえ、アキは顔を青くした。
「・・・・・・・・・だからと言って、カイルを乗せて航海もできないし、俺が船から下りることもできない。一週間に一回は帰ってくる」
「一週間に七回帰ってきてくれるならいいよ」
「・・・・・・沖合漁師じゃないんだぞ、俺らは」
カイルはアキを睨み付ける。
そして、遠くの方で柱に寄りかかっていたシーザの姿を発見すると、すぐさま駆け寄って抱きついた。
「シーザあああ!」
「おいアキ、何なら俺がカイルと一緒に住んでやってもいいんだぜ」
「馬鹿があああ!そんなこと俺が許すわけがないだろう」
よしよしと頭を撫でるシーザ。
ひょいと子供を抱えるようにカイルを持ち上げると、シーザは何も言わないで外に出て行ってしまった。
「・・・・・ったく頑固な女だ」
「あの、喧嘩ならよそでやって・・・」
リゲの言葉を無視し、アキはシーザたちを追いかけた。
「おい!シーザ!」
外に出た途端、突きつける日光にアキは顔をしかめる。
二人は、なにやら船乗り場で、一人の男と喋っていた。