海上船内物語
「おおお!お前妊娠してんのか!ちょっと持ち上げてもいいか?」
ひょいとカイルを抱き上げる男は、同じ様な髪色をした男だった。
「いやー、あんまりわかんないわ。そんな差ってないのな」
「まだ二ヶ月もしてないからね」
ゆっくりとカイルを下ろすと、金髪は笑った。
アキはその後ろから無言で現れた。
「うおっ!・・・って誰かと思えば船長さん」
「・・・・・お前はカイルの・・・・兄貴」
「久しぶりだなーお互い」
カイルの肩を抱いて引き寄せると、アキはシーザのほうを見やった。
「いやー、それにしてもシーザ船長、生きてたんですね」
「お前の中で俺は死んでたのか?!」
「だって、あの時のアリア船の中、生存者はいなかったですからね」
「今はアルが船長か」
シーザは懐かしいものを見るように、カイルの兄、アルを眺めた。
「船長も中々そっち、気に入ってるみたいじゃないですか」
「むかつく野郎はいるけどなー!ハッハッハ」
ばこん、とアキはシーザの後頭部を殴った。
それで、と話を急かす。
「あーそうそう。こいつを隠れ処においてくって話しだったよな。」
シーザがカイルの方を見る。
カイルはじっとりとアキを見上げた。