海上船内物語
「絶対に一人は嫌!!」
「そうそう。それで、本題に戻るなー。」
「俺の女も今腹ぼてなんですよ。俺も女は置いてくつもりだし、よかったらカイルん所住まわせようかなーって話しです」
カイルは兄を凝視した。
「兄ちゃん・・・孕ませたんだ」
「おいおい、誤解してくれるなよ。失敗したんじゃないからな」
ふん、とアキは顎に手を遣り考え込む。
「・・・・・・海賊の救いを飲み込むのも癪にさわるが・・・、これはカイルが決めろ」
「えっいいの?」
「まぁ、でなければお前は一人だからな」
カイルはアルを見上げた。
「・・・・・・そのひと、いい人?」
「ん?あ、ああそう言えばお前、生まれてこの方、女と喋ったことなかったな。大丈夫、俺が認める女だ。手癖がちょっと悪いが・・・・」
「一緒に暮らしても、いいかな?」
今度はアキを見上げた。
アキは不服そうな顔をする。
「まぁ・・・・・、同じ性別のほうが落ち着くのであれば、そうすればいい。俺は何も分からんからな」
ふい、と素っ気無く視線を逸らし、早くその場を去ろうとする。
「じゃあ兄ちゃん、その人によろしく言っといて」
「場所は後で教える。取り合えず俺は一回船に戻るからな」
カイルの手を引いて、アキはその場を去ってしまった。