海上船内物語
「・・・・・・・・まあいい。ヤツが行きそうな場所は大体分かる」
「俺さっき町人に聞いてきました。カスベール丘の向こうですって」
「・・・・・・・・・・・・そうか」
得意げに話す部下を一睨みし、黒髪は歩を進めた。
「ウル、他の船員達は」
「仕入れは終わったんで船で待機してます。いつ奇襲が来てもおかしくないように」
「分かった、お前も船に戻っておけ」
「はい」
一礼した、ウルと呼ばれた部下を尻目に、黒髪はさっさとその場を立ち去ってしまった。
彼らの歩いた後ろはまだ、人が居ない。