海上船内物語
「ウル・・・・・・・・・こいつらやっぱり大海賊連盟の奴らだな」
隣に居た金髪の船員が呟くように言った。
「あぁ・・・ベイズラリア。確かにだ。リゲの言ってる事は冗談じゃなかったんだな」
「どうする?」
「どうするって、売られた喧嘩は買うしかねぇだろ」
最後の一人を海に放り投げ、ウルは海面を見つめた。
数人の船員は溜め息を漏らす。
「不安なのは、その“大海賊連盟”ってのはどんだけの威力を持ってるかだよな」
赤毛の男は言った。
「こいつらは多分、実力的に下っ端だろ?けどそれでもこの人数だからなぁ」
うーん、とウルは顎に手を当てた。
ゆらりゆらりと、海面が朱色に染まっている。
「ま、それはそうと。ほら、カイルが突っ立てるぜ。そろそろ飯にするか」
「あいつこんくらいの骸で騒いでたら生きてけねぇぜ」
「その内慣れるだろ、あいつも」
血塗れた船員達は笑いながら、突っ立ているカイルに声を掛けた。
「初めは誰でもそうだって!そんな面食らった顔すんなよ」
「だってよ、」
「お前まだガキだもんなぁ。大丈夫だって、背は伸びる!」
「背は関係ないだろ!!」
死神船は笑いに包まれながら、潮風は吹き抜けた。
船内の血臭を乗せ、大海に広がる。
カイルの浮かない顔だけが輪の中で目立っていた。