海上船内物語
「まぁ、承知したよ。そんだけの為に呼んだの?」
「あぁ、あと少し。話を聞きたくてな」
「話?」
“男”は鬱陶しそうに、額に巻いていた真っ赤な布を取る。
ざんばらに伸びた金髪が肩につく。
「連盟“ベイズラリア”の幹部である君に聞きたい。最近、アリア船はどうだ?」
「だから、そう言うのは船長に聞いたほうが早いんじゃない?俺は副船長だって」
「アルに聞いているんだ」
嗤っている“男”を見上げ、アルは諦めたように口を開いた。
「ベイズラリア幹部、“アリア”は戦闘態勢ばっちし。いつでも突撃可能」
「何だ、味気の無い報告だな。もう少しユニークを詰めても良かったろう」
豪快に笑う、“男”。
「はぁー・・・・・・、全く。大海賊連盟のトップがそんなんで大丈夫なのかねぇ?アラン」
「心配するな。アレさえ手に入れば死神船など容易いわ」
「本当、身勝手ですねぇ。手放したのは貴方なのに」
金髪を揺るがして、“アラン”はまた嗤った。