海上船内物語










□ □ □



「おーやっぱり向こうの方は雨降ってきてるな」

「俺の言ったとおりだ!」

「はいはい」


堤防に身を乗り出し、ウルとカイルは遠くの空を見上げた。

正面側の空だけが厚い雲に覆われ、雨が降っている。



「あれ?他のみんなが居ない」

「他のやつらは市に出て物を物色してるだろうよ。俺は面倒だから行かない」

「俺も行きたかった!!」

「だってお前、空見てばっかで聞く耳持たなかったじゃねぇか」

「・・・・・・・・・・・」


不貞腐れたように、カイルは唇を尖らせた。

厚い雲に覆われ、垣間見える太陽が海面を照らす。



「・・・アキはさぁ、何で“ガルフ”の話をすると不機嫌になるんだ?」


堤防の脆くなった鉄柵に身を預け、カイルは呟く。


「別に不機嫌な訳じゃないと思うぜ。きっと」


ウルも同様、鉄柵に背中を凭れさせて遠くの市場を眺めている。


「でもさ、リゲがそいつの話持って来た時、すんげぇ空気悪くなったじゃねぇか」

俺びびったぜ、とカイルは苦笑しながら言った。



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