海上船内物語
「俺は死神船の中で船長と一番長い付き合いしてんだ。知らねぇこともまだまだあるが、一応船長の身の上は知ってる」
眉を寄せながら、ウルは言った。
「俺らの“死神船”は、ガルフが作り上げたものなんだ。その当時海賊達が荒れててよ。殺しや強盗、何でもしてたんだ」
「だから“ガルフ”って奴は初代船長なんだな?」
「あぁ。政府に雇われて、ガルフが船長になった」
でも、ガルフとアキに何の関連性が?と、カイルが首を傾げた。
潮風が髪を靡かせる。
「・・・・・・・・・師匠、だったんだってよ。ガルフは」
「・・・・・・・・・アキ、の師匠?」
ウルが太陽に反射する水面を眺めながら、ぽつりと言った。
「船長、ガキの時に親を亡くしたんだ。目の前で、海賊共に殺られたらしい。何とか自分は助かったって言ってたけど、今でも身体に傷は残ってる」
「アキが・・・・・・・・・?」
ウルがこれまでで一番苦そうな顔をする。
「海賊に堕とされた村、って知ってるか?」
「村?」
「あぁ。その村は原油とかが良く取れる裕福な村でよぉ。海賊達はその資源狙って襲ったんだろうな。
何千と言う海賊達引き連れて、一日であっという間に村人が居なくなったらしいぜ」
ぐ、とカイルは息を呑んだ。
心臓の音が高鳴る。