海上船内物語
――死神船。
その船の前を通った者は、跡形もなく消し去られてしまうと言う。
専らの、噂。
ヨーロッパ大半を支配する“政府”がその実力を買い、今では政府の狗。
と言う表向き。
「・・・・・・・大海賊連盟ベイズラリアの撤去はどうなった?」
長髪で金髪、いかにも見た目が険しいリゲは呟くようにそう言った。
「・・・・・ベイズラリア・・・・・・・、あぁ、あれ?」
「あれ、でなくどうなったと聞いている。近頃また盗みの被害などが市から出てるのだ」
アキが、溜め息をつく。
「要するに、その“ベイズラリア”ってのを潰せばいいんだな?」
「あぁ、その通り。」
「俺たちに何の利益がある?」
「お前の嫌いとする海賊が、死神船を落とすそうだよ」
“政府の狗”と言うのは事実。
が、実質政府界のトップ、リゲは死神船の船長に足蹴にされているのだ。
つまり、“政府”が“死神船”に頼っている状況。
「引き受けてやる。感謝しろよ、無力」
「国の為、その汚名甘んじて引き受けてやる」
「責任感が強いんだな、無能」
「・・・・・・・・・・・・・・・・海賊狩り風情が」
“政府”と“海賊狩り”は仲が非常に宜しくない。これが事実。