海上船内物語
「とにかく、俺は“海賊”の存在が許せない。死神船のメンバーは全員、海賊に恨みを持ってんだ。親を亡くされた奴、友人を亡くされた奴、まだまだ酷い奴だって居る。」
「じゃあ、ウルもか?」
「当たり前だ。俺は昔料理屋の息子だったんだが、海賊に店を壊されちまった。両親は見せしめに殺されるし、俺は逃げることしか出来なかった。無力だ」
向こう側の海が晴れて来た。
厚い雲から太陽の陽が射す。
「だから、カイル。お前も強くなれ。死神船の船員である以上、海賊に立ち向かって行く力が必要だ。」
「・・・・・・・・・・・・あぁ、」
「ま、お前は居るだけで面白いからそれはそれでいいんだけどな!」
「どういう意味だよ!」
からからと笑うウルを見て、少し心が軽くなったような気がするカイル。
市の門でクルト達船員が手を振っているのが見えた。
「お、呼んでる。空も晴れてきたし、船出すか!」
「おう!」
カイルとウルは、堤防から歩き出した。