海上船内物語
「そう言えば今、この船ってどこに向かってんだ?ずっと航行してるけど」
「死神船は基本適当だぜ?海賊船を見つけたら落とす。行く所なんて決まってねぇ」
がはは、と豪快に笑う船員達。
「だってお前、今だって帆張り班と料理班に分かれてっけど、基本メンバーは大抵違うだろ?適当なんだよ、この船は」
ウルが笑いながら鍋に芋を入れる。
「まっそれもそうだな!この船にはそう言うのが一番似合うぜ」
「だろー?・・・・・」
ゴッ・・・・・・・・・・・・!!!
重低音がし、突然船が揺れた。
「?!」
「何だ?!」
バランスを崩し、部屋の端まで転がっていくカイルをそのままにし、船員達は梯子を伝って素早く甲板に出た。
「おっ置いてくなよ!!」
急いでカイルも後に続く。
「おい!!一体何があった?」
ウルが一番初めに甲板に出る。
帆張り班も甲板に出ていて、皆海を見渡していた。
「分かんねぇ!いきなり何かがぶつかってきた感じがしたんだよ」
「船体に傷は?」
「今確認中だ」
そこで、船長室から物音がする。
「・・・・・・・?」
ウルは一人、船長室がある二階を見上げた。