海上船内物語
「俺?俺は、大海賊連盟幹部“アリア”の副船長、アル・ベレナイシーだ!」
ガキン、とアキの剣を跳ね返す。
アルと言った男の金髪が揺れる。
「大海賊連盟、幹部?」
「お前ら、連盟“ベイズラリア”を知ってるな?そこのトップに頼まれて、今日はここに来た」
アキが怪訝そうに眉を寄せる。
「トップに頼まれた?何故だ」
ぎちりとお互いの剣が鳴りながら、二人は睨み合う。
「・・・・・・・・・フン、いずれ分かるよ」
アルはアキを小莫迦にしたように嗤い、また剣を撥ね退ける。
「・・・言って貰わないと困るな。勝手に侵入されて、何も言わずに帰って行く海賊が居たなどの事があっては死神船の恥だ」
「冷たいねー、船長さん」
「ウル、ここは良いから下に行って他の侵入者が居ないか見てきて来い。任せろ」
「はい」
アキは剣を振り払うと同時にウルに目配せをし、指示を受けたウルが出口に飛び出す。
「良いの?有能な部下を引き下げちゃって」
「有能?俺にしてみればこの死神船全員が有能だと思うのだが?」
「・・・・・・・・・・・・・・仲間想いな船長さんだね。でも、船長さんひとりで俺の相手は無理があるんじゃない?」
アルの腰に巻かれている真っ赤な布が揺れる。
キン、と細い剣が犇めき合った。
アキの鋭い眼光がアルを睨み付ける。