海上船内物語
梯子を無視して飛び降り、アルは調理部屋の扉を蹴破った。
「っ?!」
「・・・・・・・・・・・・・・!!」
バン、と突然大きな物音がしたのに驚き、調理部屋に居たクルト、ジャン、ウル、サミア、オルガ、カイルの六人は飛び跳ねた。
どうやらウルが調理班に今ある状況を説明していたようだった。
「お前はさっきの・・・・・・!!」
「そんなに警戒しないでよ。君は目的じゃないの」
それに次いで、アキも調理部屋に押し掛ける。
アキが矢継ぎ早に長剣を振り下ろした。
アルはそれに気付いていない。
ずっと何かに目を奪われていたようだった。
ひゅん、と時間が止まったように、重低音だけが聞こえる。
ざく、と鈍い音がして、鮮血が飛ぶ。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・あぁ、やっぱり居た。」
アキに背後を斬られたアルは、一瞬苦痛そうに顔を歪めたが、また再び笑みを零す。
「カイル」