海上船内物語
□動
「・・・・・・・何だって・・・・・?」
アキが不愉快そうに顔を歪める。
「お前の目的はカイルなのか?」
「あぁ、そうだよ」
ウルの後ろに隠れるようにして立つカイルが、アルと目を合わそうとしない。
「はあ?こいつが目的?!」
「有り得ん!絶対人間違いだ!」
周りに居た船員が罵倒を上げ始める。
それを嗜めるアキ。
「うわっ!!」
突然アキに首根っこを鷲掴まれたカイルは、引き摺られるようにして、アルの前に付き付けられる。
「コイツで間違い無いのか?」
アルにカイルの顔を良く見るよう指示するアキ。
アルはゆっくり口角を上げ、笑った。
するりとアルの指がカイルの首元を触る。
滑る様にその手は細い顎を掴んだ。
薄ら笑みを浮かべたままのアルの唇は、カイルの唇に重ねられた。
「なっ・・・・・・・!」
その場が、凍り付くように静寂になった。