海上船内物語
「っ!!!」
アキの長剣が見えない内に引き出され、豪快な音と共にカイルの顔の真横に突き刺さる。
「・・・・なっ、・・・・・・・」
「漁師の息子と言ったな、貴様。漁師の家系だったらこの事実は知っていて当然だな」
「・・何の事言ってんだ」
「海賊の領海なぞ存在しない。そんなものがあったらこの死神船がとっくに排除している」
アキの眼がカイルを捉える。
カイルの視線が泳いだ。
「・・・きな臭い奴だとは思っていたが・・・・・、貴様は何者だ?」
ぎちりと壁に突き刺さった剣が鳴く。
カイルが聞こえない位の小ささの声を漏らした。
「・・・・・・・・やっぱりアキには全部ばれちゃうんだよ、」
「は?」
「・・・何でもない」
負けじとカイルもアキを睨み上げた。
「・・・・・貴様は海賊か?」
「・・・・・それは違う」
「では何だ?」
「・・・・・・・・・・・・・」
アキを睨み続けたまま、カイルは口を閉ざし続けた。