海上船内物語
「船長」
ドアをノックする音がして、ウルが入ってきた。
「どうした」
「船に損傷はありませんでした。」
「そうか」
アキがベッドに座る。
ウルは壁に張り付いたままのカイルを妖しげな目で見遣った。
「・・・・・船長、あいつは」
「あいつは漁師の息子などではない。自分の正体を謀っていた。海賊との関係が無いとは言い切れんから、一先ず政府に引き渡す。」
「・・・・・・・・・カイルが?」
ウルが信じられない様な顔でカイルを見る。
「・・・・分かりました。進路を変えます」
「あぁ、頼む」
そして、ウルが部屋から出て行った。
「皆、きっと驚くだろうよ。貴様が裏切るなんて思いもしなかっただろうからな」
「アキって饒舌の時は大抵嫌味を言ってるよな」
「光栄だ」
そのままアキがベッドに横たわる。
「俺は寝る。間違っても起こすなよ」
「・・・・・えぇ?寝るのか?」
「悪いか?」
「俺このまま?」
「当たり前だろう」
ごろりと体の向きを変え、アキはそのまま動かなくなる。