海上船内物語










□ □ □



ばたん、辺りは闇で何も見えない部屋に、何かが倒れる音がした。



「・・・・・・・・・・誰だ?」


男はその物音に目を覚まし、ベッドから身を起こす。
酷い悪臭に眉を寄せた。



「・・・・船長、居ましたよ・・・・・」

「何だ、アルか」


男は灯りに火をつける。
ぼう、とアルの顔が映り出された。

アルは床に寝そべったまま、だらしなく男を見上げている。


「それで、何が“居た”んだ?」


男の口元が薄く上がる。


「・・・・・ハッ、船長分かってるでしょ・・・。

まぁいいや。貴方の求めている“美しき怪物”ですよ」


にやり、と男は笑った。



「“美しき怪物”・・・・・・・・・」


ごほ、とアルが咽込む。
床に血液が付着した。



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