海上船内物語
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ばたん、辺りは闇で何も見えない部屋に、何かが倒れる音がした。
「・・・・・・・・・・誰だ?」
男はその物音に目を覚まし、ベッドから身を起こす。
酷い悪臭に眉を寄せた。
「・・・・船長、居ましたよ・・・・・」
「何だ、アルか」
男は灯りに火をつける。
ぼう、とアルの顔が映り出された。
アルは床に寝そべったまま、だらしなく男を見上げている。
「それで、何が“居た”んだ?」
男の口元が薄く上がる。
「・・・・・ハッ、船長分かってるでしょ・・・。
まぁいいや。貴方の求めている“美しき怪物”ですよ」
にやり、と男は笑った。
「“美しき怪物”・・・・・・・・・」
ごほ、とアルが咽込む。
床に血液が付着した。