海上船内物語
「あぁ、あと一つ。」
「何だ?」
アルが倒していた体を起こし、男に向かう。
「アキ・オールフィズって知ってますか?」
男は、怪訝そうな顔をする。
「あぁ、あの忌々しい男」
「あの男、死神船に居ますよ」
ぴたりと動きが止まる。
「きっと奴らは政府の本拠地に向かっています。そこを襲撃しますか?」
「あぁ、勿論だ。この事はアランのおっさんには伝えたのか?」
「いえ、まだ。」
「どうせあの船を襲撃するなら、ベイズラリアの力も借りた方が面白味があるんじゃねぇ?」
にやり、と不敵な笑みを漏らす。
「俺がアランのおっさんの所に行く。アル、お前は休んでろ。有能な腕っ節が一人居ないのとは大違いだからな」
「はい」
アルがベッドに凭れる。
そして、男はそのまま部屋から出て行った。