海上船内物語
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薄暗い部屋に、朝日が射した。
カイルは目を開ける。
「・・・・・・・・・・・・・・」
部屋を見渡すと、ベッドの上には誰も居なかった。
(腕痛ぇ・・・・・・・)
ずっと貼り付けられたままの腕は、血液が十分に通わず色が変色している。
「あぁ、起きたか」
「!!!」
がちゃりと何の前触れも無く部屋に入ってきた船長の姿に、カイルは飛び上がる。
「び、びっくりした・・・・」
「何を驚いている。元々ここは俺の部屋だぞ」
「・・や、そうだけど・・・・・・・・・」
カイルはアキを見上げた。
普段と何ら変わりも無い、眠たそうな姿だ。
「・・・・・・・貴様、飯は食べたか」
「は?」
壁に凭れて、アキがふてぶてしく言い放つ。
「食ったか食ってないかを聞いている。早く答えんか」
「あ、・・・いや、食べてねぇ」
それだけ聞くと、アキは颯爽と部屋から去ってしまった。