海上船内物語










□ □ □



薄暗い部屋に、朝日が射した。

カイルは目を開ける。



「・・・・・・・・・・・・・・」


部屋を見渡すと、ベッドの上には誰も居なかった。


(腕痛ぇ・・・・・・・)


ずっと貼り付けられたままの腕は、血液が十分に通わず色が変色している。



「あぁ、起きたか」
「!!!」


がちゃりと何の前触れも無く部屋に入ってきた船長の姿に、カイルは飛び上がる。


「び、びっくりした・・・・」

「何を驚いている。元々ここは俺の部屋だぞ」

「・・や、そうだけど・・・・・・・・・」


カイルはアキを見上げた。
普段と何ら変わりも無い、眠たそうな姿だ。



「・・・・・・・貴様、飯は食べたか」

「は?」


壁に凭れて、アキがふてぶてしく言い放つ。



「食ったか食ってないかを聞いている。早く答えんか」

「あ、・・・いや、食べてねぇ」


それだけ聞くと、アキは颯爽と部屋から去ってしまった。





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