海上船内物語
■動き出す、朱色達
□赤
「食べ終わったか」
「ん?あ、あぁ・・・」
「お前また寝ててのか」
「アキも同じ様なもんだろ」
カイルは伏せていた顔を上げると、直ぐ前にアキが立っていた。
その手は空になった皿を要求している。
「ありがとう。美味かった」
「礼ならウルに言う事だな。あいつが一番まともな料理を作れるからな」
「うん、ウルの料理が一番美味い」
カイルから皿を受け取るアキ。
ふと、カイルは何かに気付いた。
(アキが汗かいてる?)
「どうかしたか」
「あ、いや・・・・・・・・・」
「後ろを向け」
「へ?・・・・・・・うわっ!!」
アキがカイルの頭を鷲掴みにし、回転する。
その力に押し負け、結局カイルは壁と向き合った。
「ちょ、アキ」
「そこの壁を押せ」
「は?壁を押す?」
「いいから押せ」
責める声色に、カイルは仕方なく壁に手を掛けた。