海上船内物語
「んな壁を押したって何も・・・・・・・」
ず、とカイルの手が壁の奥に減り込んだ。
「?!うわっ!何だこれ!!」
「隠し扉だ。入れ」
「え?!は?隠し扉?!うわっ」
そのままどん、と背中を押され、その暗く小さな部屋に押し込まれるカイル。
「何すんだよ、アキ」
「お前は今日一日ここにいろ。ここは隠れ部屋、兼拘束部屋。」
カイルの手を取り、そこにも備え付けられていた手枷にカイルの手首を押し当てる。
「いいか、声を出すな」
「は・・・・・・・・・?」
途端、カイルの視界は真っ暗になる。
アキがカイルの目に布を巻いた。
「うわアキ!な、何すんだ!何も見えない、」
「声を抑えろ。息をするな。そのまま存在を消せ」
「何だと?!」
ばし、と後頭部を殴られるカイル。
ようやく黙る。
「俺は少し部屋から出る。いいか、絶対に声は出すなよ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
そのまま、扉が閉まる音がする。
(何だ・・・・・・何があったんだ、)
カイルは視界が無く、身動きも取れない状態で一人焦った。