海上船内物語



「・・・・声は出すなよ、ここの船長にバレる。それとな、敵か味方かは、お前が決めれるんだ。まだ敵って決まった訳じゃねぇよ」

「味方ならそこの足元に転がってる鍵拾って、解放してくれよ!」


シーザが足元に視線を落とす。



「・・・・それはまだ出来ねぇ。遣りたい事があっからなぁ」

「何だよ!」


かちゃり。金属の高い音がする。

一瞬でカイルの動きは停止した。



「・・・・・・流石はアランの娘、って所だな。雰囲気を察知する力が高い」

「・・・・お前・・・剣、出してるだろ」

「見えてないのに気付くもんなんだな。そんなら動いたら、自分の腹に突き刺さる事位分かってるよな?」

「・・・・・・・親父の命令か?俺を脅すのは」

「脅すなんてとんでもねぇ。仲良く遣ろうぜ、って話だ」


ごす、とカイルは自分の額を壁に打ち当てた。


「・・・・アキを一生恨んでやる・・・」

「あ?何か言ったか?」

「・・・・・・・何でもない」


カイルは短く息を吐いた。
どうすれば助かるか、どうすれば逃げられるかを必死に考える。


(扉は閉められた。枷が・・・取れれば何とかなるのに!剣は腰にあるし・・・・・・)



「っ、あ?!」


カイルの腰にシーザの冷たい手が掛かる。
そして、剣と銃が着けられているベルトごと、ズボンを下げた。


がちゃ、と床に銃が当たった音がする。




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