海上船内物語
「・・・・・・・・・・!!う、あ・・・、!」
がくん、とカイルの膝が落ちた。
歯を噛み締めすぎて、頬が引き攣っている。
「・・・・・可愛い奴だな、本当。そんなに心地良いなら、もっと快楽に身を委ねればいいじゃねぇか?」
「お前は・・・、俺の何を知ってんだ!知ってるような顔して勝手に喋るな!!」
シーザがぐい、とカイルの腰を掴み立たせる。
「処女を奪うのは気が引けるが・・・俺をその気にさせたお前が悪いんだぜ?」
「・・・やめろ!!やめろ!俺は・・、俺は!ずっと、このままが良いんだ!」
「ずっとこのままが良い?それはどんな戯言だ?アランの娘のお前がここに居て良いとでも思ってんのか?」
カイルが暴れ始める。
視界を邪魔する布を取ろうと躍起になって頭を振る。
「、ちょ・・・手前ぇ・・・・、」
「離せ!俺は、お前みたいな部外者に今の“幸せ”を全部取られたんだ!勝手に、俺の自由を奪うな!」
押さえ込むシーザの手が、布の結び目に引っ掛かった。
頭を振り払うカイルの動きで、布がはらりと床に落ちる。
「・・・・・あーあぁ。見ちまった」
明るくなった隠し部屋を見たカイルは、絶句した。
「だから目隠ししてた方が良かったんだぜ?」
その部屋は、小さい書類部屋だったようだ。
狭い部屋の片隅に、小ぢんまりとした本棚がいくつかある。
書類部屋の面影は少し見られたが、そこには“書類”らしきものが見当たらなかった。