海上船内物語



「こ、れ・・・・・・・・・」


カイルのすぐ右側の壁。

そこには、染み付いて取れそうに無い、変色した血痕がついていた。



「・・・あのおっさん、遣る事がえぐいからな。ご丁寧に書置きしてやがる」



〝死神船船長、ガルフ・イティンジャー

ベイズラリア船長、アラン・ベレナイシーが討つ〟



夥しい血痕の下に、英語の血文字でそう雑に書かれていた。


動揺しているカイルの髪を梳くシーザ。
それでもカイルは呆然と、その字を見ていた。




「ガ、ルフって・・・・・」

「ここの初代船長だな。アランのおっさんが殺ったみたいだな」

「親父が・・・・・・・?」


カイルの滑らかな脚に指を滑らすシーザ。
その感触にようやく我を取り戻すカイル。



「・・・・ッ、触るな・・・、」

「手前ぇはまだこの船に残っていたいのか?」

「当たり前だろ!!!」

「お前が慕っているアキの師匠は、お前の親父に殺されたのにか?」

「・・・・・・・・・!」



(親父が、ガルフを殺した?)



カイルは硬直した。
どくり、どくりと心臓が高鳴る。




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