海上船内物語
「・・・そうだぜ、ガルフは、お前の親父が殺した。アキが一番好きだった、ガルフを殺したんだ。そいつの娘のお前が、アキと一緒に居て良いと思うか・・・・?」
シーザが耳元でそう呟く。
カイルの心臓は更に音が強くなる。
「・・・・・・・あ、・・・・・」
『船長は、きっと死神船の中で一番海賊を嫌ってると思うぜ』
いつか話したウルの声が、脳内に流れる。
「お前、海賊軍に戻る気は無いのか・・・?もう、自分を偽って生きる事も無い、楽な生活に戻る気は本当に無いのか・・・・?」
「・・・・・・・・・・・かい、ぞく・・・」
赤黒く変色している壁を、ただじっと見つめるカイル。
「っいっ・・・・・・・・!?」
「力抜けよ?余計痛みが増すぜ」
「や、めろ!!やめろ!!っやめろ!!」
シーザの体がカイルに密着する。
カイルの体が軋んだ。
「・・・・う、あっ・・・・・・・・・・・!!」
「っ・・・・・・・、」
腰を掴まれたカイルが思わず悲鳴をあげた。
喉から嗚咽が漏れる。
「・・・あ、・・・・・・・っ・・・、」
がしゃがしゃと手枷が鳴る。
カイルがそれを取ろうを必死に手首を動かす。